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READ 2 INNOVATE! 読書からイノベーションを起こす情報集!

『1冊20分読まずに、「わかる!」すごい読書術の』の著者渡邊康弘が、最新のビジネス書をはじめ、読書会や読書法など、読書とイノベーションに関する様々な情報をお届けするブログです。

【今年上半期、ベストビジネス翻訳書!】書評:『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』 サリム・イスマイル著 日経BP社 (2015/8/5)

飛躍型企業のパラダイムは、スタートアップだけでなく、

あらゆる規模の起業で躍進と革新をもたらすだろう。

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多くの成長し続ける経営者のバイブルとなっている

『ビジョナリーカンパニー』 (原著:Built to Last: Successful Habits of Visionary Companies)。

 

あれから20年。

 

現代の経営者たちの指針となるべき一冊が翻訳された。

 

本書は今年上半期、最も価値ある翻訳書と言える一冊だ。

『Exponential Organizations』の翻訳書

『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』。

 

Exponential Organizations: Why new organizations are ten times better, faster, and cheaper than yours (and what to do about it)

Exponential Organizations: Why new organizations are ten times better, faster, and cheaper than yours (and what to do about it)

  • 作者: Salim Ismail,Michael S. Malon,Yuri Van Geest,Peter H. Diamandis
  • 出版社/メーカー: Diversion Publishing
  • 発売日: 2014/10/14
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る
 

 

シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法

シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法

  • 作者: サリム・イスマイル,マイケル・S・マローン,ユーリ・ファン・ギースト,ピーター・H・ディアマンディス,小林啓倫
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2015/08/05
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

UberやAirbnb、GoPro、Snapchat、GitHub、Tesla。

こうした企業の名前は、海外のビジネス状況に詳しくない人でも

一度は目にしたことはあるはずだ。

 

Uberは、タクシー業界。

Airbnbは、ホテル業界に革命をもたらしており、

GoProにいたっては、ソニーを抜いて

ビデオカメラの出荷台数で世界一だ。

Teslaは、あのイーロン・マスクが立上げ、

電気自動車界に衝撃を与えていることは

言うまでもないだろう。

 

それもこの5年から8年ぐらいの期間で、

業界に革新をもたらしている。

 

いったい、どのようにしたらこのような飛躍的企業が

誕生するのか?

 

その秘密について書かれたのが本書

『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』 だ。

 

本書は、シリコンバレーで2008年に創立され、

世界のエリート起業家や幹部たちが通う

シンギュラリティ大学、専務理事の著者が語る。

 

著者のサリム・イスマイル氏は、シンギュラリティ大学の

前職にヤフーのヴァイスプレジデントを勤め、

ヤフー内のインキュベーター、ブリックハウスを立ち上げたことで

知られている。

 

そのサリム氏が、惜しみなく飛躍するビジネスを徹底的に分析し

共通点を見出し、わかりやすく説明したのが本書だ。

 

それでは、本書のポイントを見ていこう!

 

今後5年の間に、

新たに30億人の人々がグローバル経済へ参加する時代

 

まずはじめに、これからの5年間は、

これまで何も購入して来なかった30億人の人々が

グローバル経済へ参加する時代に突入する。

 

つまり、数十兆ドルもの新しい購買力が生まれることになる。

 

さらに、この「新たな30億人」から、

次世代型の起業家が生まれてくる。

 

グーグルや、AI、3D、合成生物学に至るまで

ネットを通じて、最新テクノロジーを駆使する。

 

数百万人のイノベーターたちが実験をはじめ、

開発した製品やサービスを次々とネットに公開し、

事業を生み出し、イノベーションを加速する。

 

時代は6D時代に突入している

6Dとは、デジタル化(Digitized)、潜在的(Deceptive)、破壊的(Distruptive)、非物質化(Dematerialize)、非収益化(Demonetize)民主化(Democratize)という言葉の頭文字を示している。

 どんなテクノロジーでも、デジタル化され、潜在的な成長のフェーズに入り、指数関数的な成長を遂げている。一見すると最初のスタート規模が小さいため、ほとんど目に触れることはないが、倍倍の成長を遂げ、大きな存在となる。

 急激な成長が起き、そして破壊的な状況が生まれ、テクノロジーは非物質化が進む。スマートフォンを見れば、すぐにわかる。ビデオカメラやGPS、記憶メディアなど非物質化され、非収益化していく。こうした流れの中に、民主化が起こっていく。

 

 現在の企業、政府機関、非営利組織はこの6Dから逃れることはできない。この状況を変えるには、新しいビジョンを掲げ、テクノロジーに詳しく、変幻自在な組織へと変貌を遂げるしかない。そのビジョンこそ、飛躍型企業だ。

 

飛躍型企業とは

飛躍型企業(Exponential Organization, ExO)

 加速度的に進化する技術に基づく新しい組織運営の方法を駆使し、競合他社と比べて非常に大きい(少なくとも10倍以上の)価値や影響を生み出せる企業

 

飛躍型企業を生み出すMTP、SCALE、IDEAS

 

本書では過去6年間で最も速く成長した世界中のスタートアップを

分析する中で、共通する特徴をあげている。

 

その一つが、MTPと名づけられた「野心的な変革目標」だ。

MTPは、Massive Transfomative Purposeの略称だ。

 

またこのほかに内部と外部に10の特徴だ。

内部の特徴を表す略称を「SCALE」

IDEASは、外部の特徴を表す略称。

 

これらを見ていこう。

 

ミッションステートメントとは異なる野心的な変革目標(MTP)

TED「価値のあるアイデアを広める」

グーグル「世界中の情報を整理する」

 

「いましていること」ではなく「これから達成しようと志していること」が書かれているのだ。また彼らの目標は、狭い分野に限定したものでも、テクノロジーのみを語るものでもない。組織の中の人々だけでなく、組織の外にいる人々の心や想像力、野心をつかもうとしている。

 

大きなポイントは、ミッションステートと異なり点だ。

大半のミッションステートは、誰かを鼓舞するようなものだったり、

大志と言えるものや、変革を目指すものがない。

 

MTPは、

Massive(野心的な) Transfomative (変革に向けた)Purpose(目標)

の三点が入っているものを指す。

 

なぜそれを実行するのか?

なぜ私たちの会社は存在しているのか?

 

飛躍型企業の外側にあるSCALE

S (Staff on Demand)

オンデマンド型の人材調達

C (Community & Cloud)

コミュニティとクラウド

A (Algorithms)

アルゴリズム

L (Leveraged Assets)

外部資産の活用

E (Engagement)

エンゲージメント 

 

これからの時代、新たな視点をもたらす学習や、

俊敏に行動できること、チームメンバーの絆を強くする

人材が必要だ。

 

コミュニティという領域では、ロイヤルティを高め、

指数関数的に成長ができるような環境をつくること。

新しいアイデアを受け入れ、検証し、学び得られるようにする。

イデアを具現、具体化できるプロセスを増幅することが必要だ。

 

アルゴリズムは、規模の大きい製品やサービスを実現することや

大量のデータを処理、分析し、公開していかなければならない。

 

自前で何もかも保有するよりも、

何かを貸し借りしたり共有する時代に入っている。

 

最後にユーザーが評価しあえたり、積極的な参加を促す

エンゲージメントが必要だ。 

 

 飛躍型企業の内側にあるIDEAS

 I (Interface)

インターフェース

D (Dashboard)

ダッシュボード

E (Experimentation)

実験

A (Autonomy)

自律型組織

S (Social Technologies)

ソーシャル技術

 

飛躍型企業を立ち上げる12のステップ

  1. MTPをつくる
  2. MTPに関係するコミュニティに参加するか構築する
  3. チームを組織する
  4. 活気的なアイデアを用意する
  5. ビジネスモデル・キャンバスをつくる
  6. ビジネスモデルを考案する
  7. MVP(Minimum Viable Product)をつくる
  8. マーケティングとセールスを確立する
  9. SCALEとIDEASを実現する
  10. 社内文化をつくる
  11. 定期的に重要な問いを投げかける
  12. プラットフォームを構築する

 

この12のステップの中に、

ビジネスモデルキャンバスやMVPが入っていることは

非常に興味深いことだ。

すでに、シリコンバレーの中枢でBMキャンバスやVPキャンバスが

使われていることになる。

 

この12のステップを歩むことで、

より飛躍型企業の立上げがスムーズにいくことは

間違いない。

 

本書は、20年前に私たちが『ビジョナリーカンパニー』

出会ったときの衝撃と似ている。

(参考文献リストを見る限り、意識しているような節もある)

 

本書を忠実に意識しながら、実行したときに

社会を変革する企業が生まれているのかもしれない。

 

文責:渡邊康弘